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ですから、まずは、社会風土をじわじわと醸成させていくということが第一ではないかと思います。

 

●藤田コーディネーター

 

山出さんは、現状から頭を切り換えるために市民や行政、どのようなところを切り換えていったらよいか、その点とのようにお考えでしょうか。

 

●山出先生

 

ヨーロッパの場合は、ドアの中と外の区別があり、私は一緒なのだというところが違うのではないかと思いました。
日本の場合は、家の中だけのことを考え外を重視していない、だからヨーロッパの場合は、例えば屋外の広告物、看板の類というのは、無秩序に建てられているということが殆どありません。やはり、そのようなものの考え方というものを広く普及さなくてはいけないと考えています。
環境が大事だという話しがでましたが、同時に健康という視点も欠かせないと思います。このことは徒歩であっても、自転車であっても、バスであっても、吊り革に下がるということは、私のような年配になると一つの運動になり、欠かせない大事なことだろうと思っています。環境とか健康とかも公共交通との関わりがあるということを学校教育の場でしっかりと位置づけて教えるということが、これから大変大事になるのではと思っています。
バスを活性化しよう、バスの利用を進めようという時には、やはり片方でマイカーは秩序のある運用しなくてはということを教えなくてはいけないと思います。マイカーは自由度があるということをよく聞きますが、それは、持っている者が自由であって、持っている者のルールに違いがあるとしたら、その結果として他人の自由を奪うという場合もある訳で、個人として自由であっても、社会総体として自由ではないということも考えていかなくてはいけないと思います。

 

●藤田コーディネーター

 

山出さん重ねて伺いますが、今度は行政の立場で考えるべきこと切り換えるべきことというとどういうことでしょう。

 

●山出先生

 

今申し上げたような人々の啓発ということについて努力すべきでしょう。そして諸々の交通施策に行政としても真剣に取り組み、財政支援・支出も含めて、これから考えていかなくてはならないと思います。

 

●藤田コーディネーター

 

荒谷さんは、行政の総責任者でいらっしゃいますが、行政として新たな道を歩み出すためにはどいうことが必要でしょうか。

 

 

 

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